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| HOME > 書庫 > 科目「救急・救助」について (平成11年3月) 水産高校の授業科目「救急・救助」について書いています。 (平成11年3月) |
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| ■ 科目の概要 | |||||
ご存じの方は少ないと思いますが、水産高校マリン技術コースの必修科目「救急・救助」は実技科目です。 対象生徒は20名ですので、教諭1名+実習助手1名もしくは教諭2名体制で指導しています。 指導内容は、救急法と救助法に分かれていて、6月〜10月はプールワークを中心に救助法を教え、それ以外の日程で救急法を教えています。 (1) 救急法 救急法では、救急法の目的・制限・範囲など基本的なことと、家庭内での突発事故、交通事故を想定した対処法の概略を2時間程度の座学でまとめ、後は、いろいろなパターンを想定した実地訓練の繰り返しです。 現在国内で最も受講者数の多い某民間団体では、座学にポイントを置き、実地訓練が少ないのですが、学校で指導する場合、実際の職業現場で使える生きた最新技術を身につけさせる必要がありますので、本校では実地訓練主体の内容となっています。 以下に訓練の概略を紹介します。 @ 身近な応急処置 a 傷、やけど、止血(包帯、滅菌ガーゼを使用、止血帯は使わない) b 捻挫、骨折の手当(三角巾や包帯、滅菌ガーゼ、副子使用) c 家庭内での溺れ、窒息等への対応(子供、年輩者に多発) d 脳卒中、中毒への対応 e 緊急通報訓練 f 運搬(救助者1人〜3人での訓練) A 意識不明者への処置 a 気道確保(チンリフトとジョースラスト) b コーマポジション c 呼吸確認、脈の調査 d CPR B 救急手順 a 事故現場の把握、補助者の調達 b 緊急通報、記録、医師への報告 c 患者の引き渡し 大ざっぱですが、以上の内容で繰り返し練習を行います。 特にCPR技術は日本医師会から毎年、最新の情報と技術を提供されますので、注意が必要です。 今年度4月の救急法の指針改訂では、心臓マッサージの方法が大きく変更され、圧迫と吹き込みの要領が以前とは全くと言っていいほど違うものになりました。 本校では直ぐに最新の技術に切り替えましたが、県内の自動車学校の救急講習では、まだ、以前の方法で指導がなされているようです。 (2) 救助法 水難事故の多くは、幼児や年輩者が家庭内で風呂や洗濯機で溺れるものですが、ここでは、海水浴や船の転覆、岸壁からの墜落に際して、ロープ、クーラーボックス、浮き輪等が無い場合の救助法を教えます。 @ 着衣水泳 文字通り衣服を着たままの水泳です。 その場で立ち泳ぎをしたり、水面移動を試みたりと、実際に海に投げ出された時のため、生存水泳の方法を覚えます。 衣服を脱ぎ捨てると、泳ぎは楽になりますが、真夏でも体温の低下が早まり生存の可能性が低くなるからです。 A 後ろ向きの平泳ぎ 溺者を曳航するのに、フィンなどの補助器具が無ければ、溺者の頭を両手で抱え、後ろ向きに平泳ぎで移動するしかありません。 昔の人は、髪の毛をつかんで横泳ぎをすればよいと教えていましたが、実際にこの方法をとると、溺者に水を飲ませてしまいます。 また、頭を抱える方法と一番異なる点は、溺者が意識不明の場合、気道確保が出来ないことです。 B フィンを装着しての曳航法 フィンがあれば、Do-say-Doポジションをとりながらの曳航が可能です。 このポジションであれば、事故者の容態を観察しながら運べますし、もし、呼吸停止に陥った場合でも、人工呼吸を行いながら、曳航を続けることが出来ます。 吹き込みは2秒間かけてゆっくりと吹き込んだ後、2秒間で呼吸を開放し、1秒の休みを取って、再び吹き込むといった方法を取ります。 脈がある場合には、急いで曳航するよりも正確なストロークで吹き込みを行った方が、よい結果が望めます。 C 水中で意識不明の事故者を水面まで引き上げる 溺者が水中に没している場合、迅速に水面まで引き上げ、気道確保を行うことが何よりも大切です。 ここでは、溺者の捜索と引き上げ練習を行います。 水面での手順は、これまで練習してきたものと同じになります。 以上が救助訓練の概略です。実際の訓練では、消防署と警察への連絡、引き上げ補助者の確保、時間の管理等、事故現場で迅速に行動できるための手順を繰り返し練習します。 海洋での訓練は、総合実習の時間を利用して実際の海で行います。 |
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| ■ 改定された救急法の指針 | |||||
平成10年4月の日本医師会の発表で、心肺蘇生法の重大な技術革新が報告されました。 ここでは、心マッサージの技術上の重大な変更点をお知らせします。 従来の心マッサージは、健康な状態での人間の心拍数に近い、1分間60回というペースが指示されていました。 このマッサージは15回連続で行い、その合間に2回連続の吹き込みをそれぞれ加えますから、1分間に(15回圧迫+吹き込み2回)の動作を4回行い、全体として1分で1サイクルとしますので、実際の圧迫スピードは15回を10秒程度で行うこととなっていました。 90回/分というスピードです。 ところが、実際の集中治療室でのデータによれば、圧迫のスピードを可能な限り速めた方が、血液の循環量が増えるというのです。 このため、現在では圧迫、開放、休憩の時間が均等であるならば、出来るだけ早いスピードが求められています。 本校の授業では、1分間に120回という圧迫スピードを目指して、練習に取り組んでいます。 |
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| ■ 今後の課題 | |||||
前に述べた救急蘇生法の指針では、トレーニングを受けたファーストエイダー(救急蘇生員)に、エマージェンシーキットを常時持ち歩くことを強く推奨しています。 一般の救急箱を常に持ち歩くのは不可能ですから、緩衝パッド、フェイスシールド、ラテックスゴムグローブの必要最小限3点セットです。 緩衝パッドは直接圧迫止血に用いるもので、フェイスシールドとラテックスゴムグローブは救助者の感染防止用具です。 以外と知られていないことですが、もし、事故者が出血していて、救助者が素手で応急処置を行った場合、事故者にエイズウィルスがいれば、救助者の指先のささくれからもウィルスは侵入するそうです。 生徒たちに救急法を教える場合、まず、これらの感染防止用具を用いて事故者に接する訓練を行わなければなりません。 平成10年度の授業では、年度が始まってから指針の改訂が伝えられましたので、これらのエマージェンシーキットを前もって準備することが出来ませんでした。 11年度からは感染防止用具を用いての訓練を行い、実社会で役に立つ知識と技術を修得させたいと思っています。 |
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