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このページでは、平成26年に実施された減圧表改定について解説を進めます。

 ■ 減圧表の改定の経緯
ninami
  • 今回の高圧則の改定について、中央労働災害防止協会は、減圧表改正に至った経緯として、
    1. 従来の減圧表には理論的裏付けがなかった。
    2. 欧米の減圧表に比べ減圧時間が短く危険であった。
    3. 空気潜水で水深90mまで潜水可能とされていた。
    4. 修正最大潜水時間の導き方にも理論的根拠がなかった。
    5. 混合ガス潜水を想定していなかった。
    6. 酸素は使用できなかった。
    と説明しています。
  • そして新しい規定では、「M値」を超えない範囲で減圧・浮上するよう指示されています。

 ■ M値
  • 潜水することで高圧の空気を呼吸すると、体内に高圧の窒素も吸収され、時間の経過とともに蓄積されます。
  • 陸上での生活でも体内に窒素が吸収されていますが、これよりも高い濃度で吸収されることになります。
  • 「M値」とは"maximum allowable value"のことであり、日本語で言えば「最大許容値」のことです。
  • 潜水後、浮上してくる場合、体内の不活性ガス分圧(窒素ガス分圧)がその深度の飽和圧力よりも大きくなることがあり、その状態を「過飽和」といいます。
  • 過飽和もある圧力以内では減圧症に罹患しません。
  • その減圧症に罹患しない最大の不活性ガス分圧をM値といいます。

 ■ M値の求め方
mino
  • M値を求めるには、まず窒素分圧PN2を求める必要があり、潜降時間も潜水時間に含めるならば
    N2=QN2+{Pa+Pb)NN2-QN2}(1-e-kt) と示されています。

    PN2 当該区間において時間経過後の窒素分圧(kPa)
    Pa   大気圧として100kPa
    Pb   当該区間が始まる時点のゲージ圧力(kPa)
    NN2 当該区間の窒素濃度(%)
    k loge2/半飽和時間
    t   当該区間の時間
    QN2 当該区間が始まる時点での窒素分圧(kPa)
       ただし、潜水業務の最初の場合は水蒸気圧を除いた74.5207kPa
    e   自然対数の底

  •  
  • M値=(Pa+Pc)/bN2+aN2
    Pa  大気圧として100kPa
    Pc  圧変化後の環境ゲージ圧力(kPa)
    aN2 窒素a値
    bN2 窒素b値
  • 表2-3-1 16に分類した半飽和組織と関連数値
    半飽和組織 窒素半飽和時間(分) 窒素a値 窒素b値 ヘリウム半飽和時間(分) ヘリウム a値 ヘリウム b値
    第1半飽和祖織 5.0 126.885 0.5578 1.887 174.247 0.477
    第2半飽和組織 8.0 109.185 0.6514 3.019 147.866 0.5747
    第3半飽和組織 12.5 94.381 0.7222 4.717 127.477 0.6527
    第4半飽和組織 18.5 82.446 0.7825 6.981 112.4 0.7223
    第5半飽和組織 27.0 73.918 0.8126 10.189 99.588 0.7582
    第6半飽和組織 38.3 63.153 0.8434 14.453 89.446 0.7957
    第7半飽和組織 54.3 56.483 0.8693 20.491 80.059 0.8279
    第8半飽和組織 77.0 51.133 0.891 29.057 71.709 0.8553
    第9半飽和組織 109.0 48.246 0.9092 41.132 66.285 0.8757
    第10半飽和組織 146.0 43.709 0.9222 55.094 62.049 0.8903
    第11半飽和組織 187.0 40.774 0.9319 70.566 59.152 0.8997
    第12半飽和組織 239.0 38.68 0.9403 90.189 58.029 0.9073
    第13半飽和組織 305.0 34.463 0.9477 115.094 57.586 0.9122
    第14半飽和組織 390.0 33.161 0.9544 147.17 58.143 0.9171
    第15半飽和組織 498.0 30.765 0.9602 187.925 57.652 0.9217
    第16半飽和組織 635.0 29.284 0.9653 239.623 57.208 0.9267

 

 ■ まとめ
cho
  • 上記は、計算を分かりやすくするために空気潜水を想定している計算式を示しています。
  • 潜水士テキストで、M値を求めるために与えられているデータのは上記のみです。
  • これだけの情報でM値を求めることは難しいが、一般財団法人"日本潜水協会"が良い減圧表を持っているので問い合わせられたいと書かれています。

 ■ 潜水士試験における潜水計画に関する設問について
  • 2015年9月現在、中央労働災害防止協会は有効な減圧表を持っていません。
  • 公表されているDCIEMの減圧表は、一部M値の範囲外の減圧指示があるということです。
    つまり、この減圧表は改訂された高圧則に合致しません。
    よって、潜水計画(減圧表の引き方)に関する問題は出題されないと思います。
kuma

2015/09/05 Toshimitsu YANAGI
2018/02/25加筆

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