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このページでは、平成26年に実施された減圧表改定について解説を進めます。


 ■ 減圧表の改定
ninami
  • 今回の高圧則の改定について、中央労働災害防止協会は、減圧表改正に至った経緯として、
    1. 従来の減圧表には理論的裏付けがなかった。
    2. 欧米の減圧表に比べ減圧時間が短く危険であった。
    3. 空気潜水で水深90mまで潜水可能とされていた。
    4. 修正最大潜水時間の導き方にも理論的根拠がなかった。
    5. 混合ガス潜水を想定していなかった。
    6. 酸素は使用できなかった。
    と説明しています。
  • しかし、実際の潜水現場では安全のため国際的な減圧表を用いていましたし、混合ガス潜水も行ってきました。もちろん潜水者の安全確保のための酸素減圧も一般的に行われています。
  • また、減圧表については「欧米で使用されている減圧表、あるいは独自に制定した減圧スケジュールに従って潜水しても良いが、その場合も、M値を超えてはならない」とだけ規定されています。
    (M値については後述します)
  • つまり実際のところは、「経験則に基づいた中央労働災害防止協会の減圧表を使うと危険なので、使わないでください。これまでの規定は時代遅れでした」と言っているのだと思います。
  • 本来であれは、中央労働災害防止協会が新しい減圧表を作り公表すべきなのでしょうが、それは間に合っていないようです。
    (潜水士テキストには減圧表改定と書かれているのですが、改定された新しい減圧表は掲載されていません)
  • 一般財団法人日本潜水協会さんが協会員である事業所向けに新しい減圧表を作成されていますが、残念ながらこの減圧表は公表されていません。私はこの減圧表が近い将来中央労働災害防止協会の新減圧表として公表されるのではないかと考えていますが、現時点では、使用可能な公表された減圧表はU.S.NAVY(アメリカ)のものとDCIM(カナダ)の減圧表の2つということになるようです。

    2015/09/01 Toshimitsu YANAGI

 ■ M値
  • 中央労働災害防止協会の「潜水士テキスト」によると、「M値」とは"maximum allowable value"のことであり、日本語で言えば「最大許容値」のことであるが、潜水の世界ではM値(M value)という用語が通用する。浮上してくる場合、体内の不活性ガス分圧がその深度の飽和圧力よりも大きくなることがあり、それを「過飽和」というが、過飽和もある圧力以内では減圧症に罹患しない。その減圧症に罹患しない最大の不活性ガス分圧をM値という。と説明しています。
  • そして、M値を求めるには、まず窒素分圧PN2を求める必要があり、潜降時間も潜水時間に含めるならば
    N2=QN2+{Pa+Pb)NN2-QN2}(1-e-kt) と示されています。

    PN2 当該区間において時間経過後の窒素分圧(kPa)
    Pa   大気圧として100kPa
    Pb   当該区間が始まる時点のゲージ圧力(kPa)
    NN2 当該区間の窒素濃度(%)
    k   loge2/半飽和時間
    t   当該区間の時間
    QN2 当該区間が始まる時点での窒素分圧(kPa)
       ただし、潜水業務の最初の場合は水蒸気圧を除いた74.5207kPa
    e   自然対数の底
  • M値=(Pa+Pc)/bN2+aN2
    Pa  大気圧として100kPa
    Pc  圧変化後の環境ゲージ圧力(kPa)
    aN2 窒素a値
    bN2 窒素b値

表2-3-1 16に分類した半飽和組織と関連数値
半飽和組織 窒素半飽和時間(分) 窒素a値 窒素b値 ヘリウム半飽和時間(分) ヘリウム a値 ヘリウム b値
第1半飽和祖織 5.0 126.885 0.5578 1.887 174.247 0.477
第2半飽和組織 8.0 109.185 0.6514 3.019 147.866 0.5747
第3半飽和組織 12.5 94.381 0.7222 4.717 127.477 0.6527
第4半飽和組織 18.5 82.446 0.7825 6.981 112.4 0.7223
第5半飽和組織 27.0 73.918 0.8126 10.189 99.588 0.7582
第6半飽和組織 38.3 63.153 0.8434 14.453 89.446 0.7957
第7半飽和組織 54.3 56.483 0.8693 20.491 80.059 O、8279
第8半飽和組織 77.0 51.133 0.891 29.057 71.709 0.8553
第9半飽和組織 109.0 48.246 0.9092 41.132 66.285 0.8757
第10半飽和組織 146.0 43.709 0.9222 55.094 62.049 0.8903
第11半飽和組織 187.0 40.774 0.9319 70.566 59.152 0.8997
第12半飽和組織 239.0 38.68 0.9403 90.189 58.029 0.9073
第13半飽和組織 305.0 34.463 0.9477 115.094 57.586 0.9122
第14半飽和組織 390.0 33.161 0.9544 147.17 58.143 0.9171
第15半飽和組織 498.0 30.765 0.9602 187.925 57.652 0.9217
第16半飽和組織 635.0 29.284 0.9653 239.623 57.208 0.9267

 

 ■ まとめ
cho
  • 上記は、計算を分かりやすくするために空気潜水を想定している計算式を示しています。
  • 潜水士テキストで、M値を求めるために与えられているデータのは上記のみです。
  • これだけの情報でM値を求めることは難しいが、一般財団法人"日本潜水協会"が良い減圧表を持っているので問い合わせられたいと書かれています。
  • "日本潜水協会"さんは、新しい減圧表を一般向けに公開していません。


 ■ 潜水士試験における潜水計画に関する設問について
  • 2015年9月現在、中央労働災害防止協会さんは有効な減圧表を持っていません。
  • 公表されているDCIEMの減圧表は、一部M値の範囲外の減圧指示があるということです。
    つまり、この減圧表は改訂された高圧則に合致しません。
    よって、潜水計画(減圧表の引き方)に関する問題は出題されないと思います。
kuma

2015/09/05 Toshimitsu YANAGI


 ■ 分かりやすくM値のことを知りたいダイバーのために
mino
  • M値は難しい概念ではありません。
  • 普通のダイブコンピュータに組み込まれているそれほど難しくない数値です。後程、分かりやすい記事を紹介させて頂きます。

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